「よし、大晦日だし2014年を振り返ろう」
「うーん、あまり印象がない」
「えー」
「そうだなあ。ネットで当たり前のように他国人を叩く行為を【おまえらバカじゃね?】的に冷ややかに見ている視線があると感じたのは前進なのかね。遅すぎる前進だけど」
「どこで見た?」
「たとえば、ACE COMBAT INFINITYでエリア88をコラボしてキムのハリアーがドロップしたとき、韓国人の名前だから嫌だと言って袋だたきに遭った光景とか」
「エリア88のキムって、韓国人じゃないよね」
「肌が黒いアフリカ系の少年だったと思うぞ」
「それを韓国人だと思った人がいたの?」
「キムという名前で短絡したようだ」
「でも他の人は同意しなかったわけ?」
「するわけが無い。みんなエリア88知ってる人達だった」
「じゃあ、良いわけ?」
「一方で、不当に他国を貶めるような言動はネット上で跡を絶たない。【ここまで事実無根の誹謗中傷をやられたら、怒って当然】という理屈を立てられると、もはや言い逃れができないぐらい、日本は墓穴を掘りつつある」
「XX国で事故が起こると、やはりXX国だから当然と言われてしまうが、日本で同じ事故が起きても日本だから当然とは言わないわけだね」
「そうそう。そういうダブルスタンダードは信用を無くす」
「それって、マイクロソフトがやると許されないがAppleがやると許されるって話と同じじゃないの?」
「そうそう。ダブルスタンダードは現代の基本。みんなコロコロ意見が変わって一貫性がない。ムードに流されていて主体性がないだけ」
「なぜ主体性がこれほど無い時代になったの?」
「みんなネットに使われているからさ。自分で考えることを放棄して、ネットに価値基準を委ねてしまっている」
「ネット害悪論だね」
「まあ、そのへんは今後の課題だな」
「おっと急に来年の抱負?」
「来年書くか分からないが、プランとしては存在する。ネットの害悪をきちんと告発する本を書くことはね」
「それはネット全体を敵にまわすってことかい?」
「さすがにそんなことはしないよ。たぶん、0.1%ぐらいは味方になる」
「99.9%は敵かい」
「でも社会全体からすれば、ネットや情報機器というものに対する漠然とした不安感、不信感、不快感などがくすぶっているのも事実だろう。そいつを掘り起こして顕在化させれば一般性のある論になると思うよ」
「ネットを使いこなした物知りが、知識は多いのにあまり賢くは見えないってことだね」
「そうそう。僕はなんでも知っている風に語るが、ネットの話題の流れから一歩外に出ると急に黙りこむ。よくあるパターン」
「本当の物知りはもっと謙虚だってことだね」
「そう。本当の物知りは【自分の知らないことがまだまだ多くある】ことを知っている」
「で話は戻るが、来年はどうするんだ?」
「鬼が笑うからまた今度ね」